診療項目

腎腫瘍

腎臓がんとはどのような病気でしょう?

腎臓に発生する腫瘍には、腎細胞がん(以下腎がん)があり、その発生頻度は人口10万人あたり2.5人程度です。男女比は2.5:1で男性に多い傾向があります。泌尿器科系では前立腺がん、膀胱がんに次いで多い悪性腫瘍です。

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どのような症状に気をつけたらよいのでしょう?

腎がんは、大きくなると血尿、腹部腫瘤(しゅりゅう)、疼痛などの症状がみられますが、腫瘍が小さい場合では症状が出ることはまれです。

最近では、超音波検査やCTなどの普及により、検診や泌尿器科以外の科の検査などで小さな腎がんが偶然見つかるようになってきました。

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腎がんが疑われたときどのような検査をするとよいのでしょう?

CT検査:

この検査によって、腎腫瘍の診断の大部分が可能です。また、MRI検査が有用なこともあります。

超音波検査:

簡便で、副作用もなく非常に価値のある検査のひとつです。
腎嚢胞(じんのうほう:腎臓に水のたまる袋ができるもの)や良性疾患である腎血管筋脂肪腫などの鑑別にも有用です。

肺CT骨シンチにより肺転移・骨転移の有無を調べることができます。 血管造影検査も重要な検査ですが、侵襲(しんしゅう:身体的負担)が若干あります。

このような検査を組み合わせて病気の広がり【病期(ステージ)】を判断してゆきます。 病期(ステージ)は腎臓に限局する腫瘍の大きさが7cm未満で[Ⅰ]、それ以上が[Ⅱ]、腎臓の静脈や周囲の脂肪に広がる場合[Ⅲ]、周囲の脂肪を超えて広がる場合[Ⅳ]に分けられます。

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どのような治療方法があるのでしょう?

腎がんの治療の基本は腎臓の摘出(手術)で、周囲の脂肪ごと腎臓を摘出します。
腫瘍サイズが小さい腎がん対しては腎臓を全部摘出せず、できるだけ温存することを目的に、腫瘍とともに腎臓の一部のみを摘出(腎部分切除)する手術が行われています。但し、残った腎臓に腫瘍が再発することもありますので注意が必要です。

また肺や骨に転移があっても、腎臓を摘出する場合があります。これは
①腎臓を摘出した後、転移巣に対して免疫療法、外科療法などを行うことにより、治癒したり、がんの進行が抑えられることがあること。
②がんをそのままにしていた場合、出血や腹痛、発熱、貧血などが起こる可能性があること。
などの理由によります。

また、最近では腹部を大きく切らず内視鏡を腹壁から挿入して手術する方法(腹腔鏡下手術)が行われています。この手術は、腹部を大きく切らないため傷が目立たず、手術による身体への影響が少ないなどの利点があります。手術時間は、開腹手術よりも若干長くなります。

腫瘍を摘出する以外の方法としては、腎動脈に血管を通して詰め物をし、血管を閉塞させ、がんに血液が流れ込まないようにする方法(動脈塞栓術)もあります。この方法は腫瘍を摘出することが難しい場合などに施行されます。

免疫力を高める治療としてインターフェロンという薬を注射するインターフェロン療法があります。しかし、抗がん剤の治療効果はあまり期待できないのが現状です。また、インターフェロン療法の副作用として発熱、倦怠感などが認められます。

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手術後はどのようにしてゆけばよいのでしょう?

腎がんは手術が成功したとしても、10年以上経過した場合でも転移が出現することがありますので、定期的な検査が必要です。

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