診療項目

副腎腫瘍

副腎とは?

泌尿器科が治療の担当となる臓器に『副腎』があります。
耳慣れない小さな臓器ですが、人間にとって非常に大切な役割を担当している臓器です。
場所は腎臓の上(頭寄り)に存在しています。
みぞおちのあたりの高さで背中側にある、正常では約3cmの小さな臓器で、左右2つあります。
右は肝臓の内側に、左は膵臓の裏側で、後腹膜腔という胃腸などがあるおなかの中のスペースと膜一枚隔てた、背中側にあります。
副腎の中は、外側にある「皮質」と内側にある「髄質」とに分かれていて、それぞれ体のバランス(恒常性といいます)や血圧、血糖など色々な機能を調節するホルモンという物質を血液の中に分泌しています。

副腎腫瘍1

副腎が分泌する代表的なホルモンは以下のようなものがあります

①皮質から出されるもの

 a) コルチゾール
 b) アルドステロン

②髄質由来

 a) カテコールアミン(有名な「アドレナリン」も、この一種です)

これらのホルモンは、人間が生きていくうえで、必要不可欠なものです。
しかし、副腎の中の細胞が勝手に増殖し、大きくなって腫瘍を形成したものを、「副腎腫瘍」と呼びます。
副腎の腫瘍から、正常よりも沢山ホルモンが血中に分泌されるようになると、血圧が上昇しすぎて高血圧になったり、血糖値が上昇して糖尿病になったり、肥満になったり、電解質バランスが崩れたり…と、体にとって不都合なことが色々生じてしまいます。

副腎腫瘍2

腫瘍の種類

腫瘍の種類には、以下のようなものがあります。

①内分泌活性腫瘍:
ホルモンを分泌している腫瘍で以下のようなものが挙げられます。
  a) クッシング症候群:コルチゾールを多量に分泌する腫瘍
  b) 原発性アルドステロン症:アルドステロンを多量に分泌する腫瘍
  c) 褐色細胞腫:カテコールアミンを多量に分泌する腫瘍

②内分泌非活性腫瘍:ホルモンを分泌せず症状を起こさないもの

③悪性腫瘍:がん(副腎そのもののがんや他臓器のがんの転移など)

④その他

最近では、他科受診中や人間ドックなどで、偶然腫瘍が見つかることもあります。
診断は、画像検査(CT・MRI・シンチグラフィなど)が、適宜行われます。

副腎腫瘍3

どのような治療方法があるのでしょう?

治療は、腫瘍の種類によって異なりますが、ホルモンを分泌している内分泌活性腫瘍の場合、お薬で対応できるものもありますが、一生涯薬を飲み続けなければならず、また、薬が効かなくなってくることもあるため、手術による摘出が勧められます。
以前は脇腹を20cm位切開して腫瘍を取りだしていましたが、現在では内視鏡カメラを用いた腹腔鏡手術が一般的となりました。体に3~4ヵ所の小さな穴(5mm~1.5cmほどの)を開けてカメラなどの器械を入れて、テレビモニターを見ながら腫瘍を周りの組織からはがして体外に取り出すという方法です。
ホルモン非活性腫瘍のときは、腫瘍の大きさから判断します。3cm以下のときは、外来で経過観察することをおすすめしていますが、3cmを超えるときは、がんの可能性もあり、手術をおすすめしています。

副腎腫瘍4

三樹会泌尿器科病院では、泌尿器腹腔鏡技術認定医(日本内視鏡外科学会技術認定医)がおり、腹腔鏡下副腎摘除術に必ず参加して、安全な手術を提供しております。

※なお、一部の患者様ですが、手術後も高血圧が治癒しないことがあり、降圧剤が必要な場合があります。また、ごく稀ですが、以前におなかの手術の経験があったり、腫瘍が大きすぎる場合などは、従来通り脇腹を切開した開放手術で対応しています。

副腎腫瘍5

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