診療項目

膀胱腫瘍

膀胱腫瘍とはどのような病気でしょうか?

膀胱がんは50歳以上の人に多く、男性の方が女性より3倍から5倍ほどなりやすい病気です。
膀胱腫瘍の多くは、膀胱の内側にイソギンチャク状に飛び出しています。腫瘍は1つだけのこともありますが、膀胱の中に複数存在することもあります。また内側に飛び出さない上皮内がん(平べったい腫瘍)もあります。

膀胱がんには腫瘍の根が深い浸潤性膀胱癌と根が浅い表在性膀胱癌の2種類のタイプがあり、浸潤性膀胱癌は、膀胱の筋肉や膀胱外にまで根を張り、転移も起こりやすく生命を脅かす疾患です。一方、膀胱癌の70~80%を占める表在性膀胱癌は、生命を脅かす事は少ないものの何度も膀胱内に再発する場合があります。

膀胱腫瘍1

どのような症状に気をつけたらよいのでしょう?

膀胱腫瘍が見つかる原因となる症状のほとんどは血尿です。それも痛みなどの症状のない無症候性血尿が大部分を占めます。膀胱腫瘍の一つの種類である上皮内癌では、排尿時の痛み、おしっこが近い(頻尿)などの膀胱炎のような症状が出現するものもあります。

膀胱腫瘍2

どのような治療方法があるのでしょう?

表在性膀胱癌に対する治療

治療としては、経尿道的に癌を切除することが一般に行われています。しかし、腫瘍を切除することができても、膀胱の別の部位に再発をすることがあります。一つの腫瘍の場合の再発率はおよそ30~40%、多発性の場合の再発率は70~90%とされています。
また、膀胱の内側にポリープ上に飛び出さない上皮内がん(平べったい腫瘍)の場合はBCGの膀胱内注入が行われます。この腫瘍は細胞の悪性度が高く膀胱摘出が必要なこともあります。
再発予防の為に、手術後、膀胱内に抗癌剤やBCG膀胱内注入療法が行われることがあります。さらに再発の早期発見のため、術後3ヶ月に1度、膀胱鏡検査が必要です。再発を繰り返すうちに浸潤性膀胱癌となったり、転移を生じることがまれにありますが、一般的には表在性膀胱癌が生命に影響する事は少ないと考えられています。

浸潤性膀胱癌に対する治療

膀胱の壁の深く(筋層)に根をはるように発育する癌を浸潤性膀胱癌といいます。細胞の悪性度が高いものが多く、浸潤の程度がひどくなればなるほど、リンパ節転移や他臓器への転移の頻度は上昇し、予後も悪くなります。
転移がない浸潤性膀胱癌に対する標準的治療法は膀胱をすべて摘出する膀胱全摘除術です。膀胱を摘出すると尿を体外に導くための新しい通り道を作る尿路変更術が同時に必要となります。
また手術前にCT検査や骨シンチグラフィーなどで転移が指摘できなくても、手術後に転移が出現することもありますので、転移が有る場合には、3~4種類の抗癌剤を組み合わせたM-VAC療法などの化学療法が行われる場合があります。病気の状態によっては、膀胱全摘除術、化学療法、放射線療法などを組み合わせて行うことがあります。

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尿路変更の方法

【尿路変向術】膀胱を摘出した後、尿を体外に導くための新しい通り道を作る尿路変更術にはいろいろなものがありますが、ここでは代表的な尿路変更術を示します。

尿管皮膚瘻造設術

尿管を皮膚につなぎ体外の集尿袋で集尿する尿管皮膚瘻造設術は、腸管を使わないため簡単で合併症の少ない術式です。
お腹の両側に集尿袋が必要なこと、また、尿管と皮膚の吻合が狭窄になりやすく、管が必要となる可能性があります。

回腸導管造設術

小腸を15cmほど血管をつけたまま切除して、腸の一方に尿管を縫いつけ、一方の断端を皮膚に縫いつけるものです。
比較的単純な手術で合併症も少ない方法です。お腹に集尿袋が必要です。

その他として代用膀胱造設術があります。
小腸や大腸を60cmほど遊離し、これを縫いあわせ腸で代わりの膀胱を作り、尿道に縫いつけるものです。
手術方法は複雑であり合併症もありますが、腹圧をかけ尿道から排尿できる点で優れています。しかし、うまく排尿できない場合には、自己導尿が必要となることがあります。

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最新のESWL治療

ESWL(体外衝撃波砕石術)の日帰り・一泊治療も可能になりました